信念と凝固

2010年7月8日

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武士道ワンポイントレッスン
17回目のテーマは「信念と凝固」
真面目で正義感の強い人が勘違いをしやすいことが以下のことです。
信念を持つ” VS “自分の考えに凝り固る
この違いは大きいのですが、意外と勘違いしやすく、混同してしまうことが往々にしてあります。
信念は自分の生きて行く上での判断基準であり、生き方そのものといえるでしょう。
自分の考えに凝り固まっているのは、世の中をを画一化しようとしているのと同じです。
しかし、自分の信念を貫く気持ちが強過ぎてしまい、他者にまでそれを強制しているのに気がついていない人がいます。

それは、自分の考えを押し付けているという事に気づかなければ、物事がスムーズに進まなくなってしまいます。
ここで、自分は違うと即座に思った人は一番危ないです(笑)
武士道を志している場合、老若男女問わずこの勘違いをしてしまう真面目で正義感の強い方によくお目にかかります。
この場合、話し合いができなくなってしまう、話がまとまらなくなってしまうという結果が起きます。
真面目で正義感が強いということは、言い方を換えると「柔軟性が足りなく、融通がきかない堅物」ともいえます。
と申しますのは、行為行動の総ての事に、『+』の面と『-』 の面の両方があって、つまみの調節次第で決まります。
活発でいつも動きまわっている子が、常時同じ行為行動をしていたとします。
すると、体育の時間は『+』に出て『元気で頑張っている』という好評価になりますが、国語の授業では『-』に出てしまい『落ち着きがなく、おしゃべりが多い』と悪評価になってしまうようなものです。
だから、時と場合によって言い方や対応を変えないと、信念を貫いているつもりが、他者に自分の考えを押し付けている状態になってしまうということです。
人間が集まると、その人の数だけ考え方も生き方も違います。
たとえ親子であっても全く違うものです。
ましてや時代が違えば受け取り方が違って当たり前です。
今の様に、時代の変化が著しく、携帯電話もパソコンもゲームなどがふんだんに出回って自然がなくなってしまった現在では、祖父母と孫では全く違う環境で人間形成をしてきました。
これでは考え方もマナーも生き方も変わってきて当然です。
それなのに、それぞれが自分の育った環境で身についた考え方を、信念だと思い込んで意見が違った時に譲らないとなったら、周囲は混乱してしまうでしょう。
また、時代が変化してきたから、昔の話は合わないと言い切ってしまうことも、あってはならないことです。
昔の良い所を残し、そこに新しい良い事を取り入れながら改善していくのが人間だからです。
停滞も切り捨ても総て限度があるのです。
信念とは自分の生き方です。
だから、他者と違っていて当たり前で、お互いに尊重し合えれば上手くいくようになっています。
その調整能力を身につけるのも、人生における成長のための大切な学びです

相手も相手なりに信念を貫く自由があり、自分も自分の信念を貫く自由があります。
信念を貫く事と、自分の考えに凝り固まってしまう事の区別をつけるよう、柔軟性と素直さをもって接していきましょう。
きっと、真面目で正義感がある人はそこをより評価されて、信用と信頼の度合いが増していくことでしょう。
また、人に合わせてばかりいる人は、ここらで信念を持ってみましょう。
きっと人生が楽しく感じます。

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